無策の策

  1. ビジネス

無策の策」という言葉をご存知でしょうか。簡単に言うと「何も考えない事をあえて策とする」というような意味で、そのまま受け取ると「何も考えてなかったことの言い訳じゃん!」となりそうなこの言葉。そんな「無策の策」という言葉を、私は座右の銘として常に心掛けています。

なかなか知られていないこの「無策の策」ですが、真意は「策を練らずとも、策を練っていたかのような立ち振る舞いが出来ること」=「目の前の課題にいつでも最善を尽くせるよう、経験や知識を広く深めておくこと」=「経験をもってして挑めば策はいらない」であると考えています。この「無策の策」について、自分なりの見解を例えも含めてまとめてみました。

無策の策~打ち合わせでの例え

例えば「ウェブマーケティングで集客したい」という相談があったとします。

ウェブマーケティングについて何も知識がない状態で打ち合わせに挑むのは言語道断で、すぐに無言の気まずい空気が流れるでしょう。

とはいえ、完全に「ウェブマーケティング」に絞って、例えばリスティングやSNSの運用といった想定のみで打ち合わせに挑んだ場合、クライアントの要求とかみ合わない可能性があります。例えば「クライアント側で既にリスティングは運用中で、集客自体は出来ているものの、CVR(成約率)が低いため、CVRの改善施策をアドバイス頂きたい」といった依頼だと、打ち合わせをうまく進められず固まってしまうかもしれません。

マーケティング関連の打ち合わせの「経験」を振り返ると、ランディングページの制作、プレスリリース、口コミ、DM、SNS、ECモール活用、M&Aなど、多様な話題があり、「実際に打ち合わせで会話する中で、クライアントが本当に必要としているマーケティングとは何か」を提案して、良い結果に繋げることが大切だと思います。

このような提案に繋げるためには、クライアントの要求が「ウェブマーケティングで集客したい」だとしても、ホームページ制作、SEO、経営的な観点など、様々な角度からの経験や知見が重要で、一見関係なさそうな経験や知見でも積極的に取り入れていく姿勢が大切であると思います。

無策の策~音楽のジャムセッションでの例え

もうひとつ、例えばギターやドラムなどの楽器が出来る人が集まってジャムセッション(ミュージシャン達が集まって即興的に演奏をすること)する場合。

何も練習せずにセッションに挑んでも、とても音を合わせられないですよね。

とはいえ、楽譜を見て練習を続けただけでは発想もプレイもかたくなり、良いセッションにはなりません。

ジャムセッションを楽しむためのポイントは、いかに多くのミュージシャンと音を合わせてきたか、という「経験」が一番大切です。最低限の技術があるのは当然で、それよりも「周りの出方を見ながら音でコミュニケーションをとる」という柔軟性があるからこそ、周りの音を尊重して下がるときは下がり、自分が出すときは思いっきり前に出る、といった良いセッションになります。

無策の策の真意

これらの例をもって改めて「無策の策」の真意を考えると、
経験をもってして挑めば策はいらない
というのが、無策の策の真意だと思います。

逆の意味では「策士策に溺れる」が良い例で、策を練りすぎると予想外な出来事が起きたときに応用で対応できず失敗してしまう、という意味の諺です。この逆が「無策の策」で、策を練らずとも、相手の出方をみながら、その場その場で策を練り、必要に応じて策を柔軟に変えながら、最終的に勝ちに繋げる、という意味に思えます。

技術や知識、策ももちろん大切ですが、それよりも幅広い経験と知見を備えることが大切。特に、幅広い業種や趣味嗜好の人と向き合い、会話する機会は、多ければ多いほど、どんな場面でも対応できる柔軟性が身につき、それによって自分の意図通りに周りを動かすことにも繋げられると思います。

以上、10代の頃からの座右の銘「無策の策」でした。

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